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普段から口数の少ないイブキは、急に話を振られたりすると、考えすぎて動けなくなることがしばしばある。
それは、さっきのように身内に対してすらも起こりうる。
いくらか深い仲の人間はイブキの思慮深い人となりを理解しているが、そうでない人間――例えばクラスメイトとか――の目にはただ「大人しい」「真面目」としか映らない。
しかし、一度貼られたレッテルを覆すのは多大な労力と気力がいる。
だから、「何もしない」という選択肢をとった。
そして、「傷つかない」と言う対価を得た。
「傷つかない」心地好さを知ってしまったイブキは、「何もしない」ことに慣れてしまった。
(口下手なのは、自分でも分かっているんですけどねぇ)
緩慢に首を回して、プチ騒動の原因となった洗濯物の塊に目を移す。
(今日の洗濯物の担当は凛でしたね。まったく、凛はまた間違えて……あら?)
普段は脱衣所に置くはずのタオルもここにあった。
(しょうがない。御主人様がお風呂に入る前に持っていかないと)
眼鏡のツルをいじってから、重い足どりで部屋を出た。
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