抱え込まず相談しましょう

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「んー? イッチャン元気ないねぇ? あれかな? オンナノコの日かな?」 「いえ、イブキさんは周期から考えて数日前に終わったはずですよ、って、待て、凛! ナチュラルに頸動脈を締めるな!」 優芽の最低な質問に対し、雅人が最悪な返答を言い終わるが先か、凛が鬼の形相で雅人の喉元を掴んでその細い指からは想像できないほどの万力で締め上げてくる。 「な・ん・で! お前がそんなこと知ってるんだよ!」 「そりゃ、好きな人のなら知っておかないと、妊娠させたら困る……だ……ろ……グエ……の、喉潰れる! 潰れちゃう! ギブギブ!」 イブキは、ちらと腕時計を見る。 「御主人様、凛、次の授業が始まりますよ。それに、周りの目もありますし」 「え?」 四人の騒ぎを聞きつけたのか、周囲の視線とざわめきが届いてくる。 「いやぁ、いいもの見れた」「あの二人は二年七組のツートップじゃないか!」「たしか黒髪の人は雅人のメイドだろ?」「なんだと!? 俺もあの黒タイツに滑り込みたい!」「あの野郎、美少女を三人も侍らせやがって……」「俺もメイドさんに首を絞められたい」「リア充爆発しろ!」「オレを止めるな!あいつを殺してオレが陽菜ちゃんから『お兄ちゃん』って呼んでもらうんだ!」「西園寺……夜道は背後に気をつけろよ……」 などなど、怨念じみた呟きが聞こえてきた。 政財界の子息・子女が多く通うこの学園では個人情報はほぼ出回っている。雅人はまあまあ有名人であり、そこには『美少女メイドが仕えている』ということも一役買っている。 それでも羨望と嫉妬が冗談の域で収まっているのは雅人の人徳と言えよう。
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