相手の目を見て話しましょう

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「イッチャンどしたの? 噛み噛みだよ?」 「おお!? イブキさんがついにデレた!?」 馬鹿騒ぎする馬鹿二人に対し、イブキは眼鏡を指の上で忙しなく動かしながら反論する。 「馬鹿なことを言わないで下さい。どうして何の前ぶれもなく急にデレるんですか」 「む、確かに。前フリも何もなかったな」 雅人は顎に手を当てる。 「そもそも、私のイメチェンがどうこうという話ではなかったのですか?」 「ああ、そうでしたね。そうだ優芽さん、さっき眼鏡をコンタクトにしたらって話しましたよね?」 (えええ!!!? それで納得しちゃうんですか!? その、もっと追求されたら、ごまかしきれなかったかもですのに……って何考えてるの私!!!?) 雅人はすでに優芽に話しかけており、イブキが心中で悶絶したり、その顔が青くなったり赤くなったりしているのに気づかない。 肝心なところで鈍感で、大切なところで踏み込まない。 やはりモテるにはどこか一歩及ばない雅人であった。 (いえ、ここはめげていないで、なんとか会話に食いついてみましょう) 折角自分についての話題だ。 イブキはちょっと勇気を出してみようと思った。 「あーしが思うに、やっぱり眼鏡からコンタクトにしたら結構違うと思うよっ」 「私としては――――」 「なんてことを言うんですか優芽さん!眼鏡っ娘が眼鏡外しちゃだめでしょう!」 「私――――」 「ええーっ!? マー君そこは『してないほうが可愛いと思うぞ。俺には眼鏡属性ないし』『眼鏡属性って何?』ってやり取りが必勝パターンじゃないの!?」 「わた――――」 「いやいや優芽さん、男には、某上条さんばりにフラグブレイカーしてでも譲れないものがあるんです」 「……いえ、やっぱりいいです」 二人の会話内容が理解不能&終始置いてけぼりのダブルパンチで、あっという間に心をへし折られたイブキであった。
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