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「あー、その声は風邪だわな。ねーさん風邪ひくと扁桃腺腫れるから。今も結構呼吸きついんでない?」
「ええ、まあ」
「前、限界まで我慢しすぎて、最終的にメンタルやられて過呼吸になりかけたじゃねえかよ」
「昔の話です」
「一事が万事。特に大事なテストとか提出物とかないなら、家事はあたしらに任せて、メイドも学校も今日は休んでいいんでねーの?」
「まあ、今日は特に何もない日ですが」
「てか、そんな状態でウロウロして、風邪うつす気か? あぁ!?」
頭をボリボリとかいて不機嫌そうにする凛を、雅人がなだめる。
「凛、気持ちはわかるが、落ち着けって」
「いいんだよ、ねーさんにはこのぐらい言わないと聞かねぇし」
イブキは体調のせいか、凛のせいかは不明だが、俯いてますます顔色を悪くする。
それを見てさらに心配した雅人は、ベテランのカウンセラーのように笑顔でゆっくりと話しかけた。
「俺からも。イブキさん、今日は休んでいいと思います。……まあ、主人命令ってことで。イブキさんはいつも頑張ってますから、一日ぐらいはゆっくりしてもバチはあたりませんよ」
「……わかりました。今日はお休みを頂きます」
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