妹系な陽菜と、ツンデレな凛と、堅物なイブキ。

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「あー、あとはコイツの服を部屋に置いたら終わりだった。で、部屋に来てみたら、雅人が陽菜にセクハラしてたってわけだ」 「セクハラではない! コミュニケーションだ! 親睦を深めているんだ!」 「黙れ犯罪者予備軍!」 凛が形のいい眉を吊り上げて非難する。 「まったく、ヤキモチ焼くなよ、凛。お前が素直じゃないってだけで、内心デレッデレなのはちゃんとわかってっから」 「なんでそんなオメデタイ思考ができるの? 不思議な力でも湧いちゃったの? 毎日が日曜日なの?」 二人の漫才じみたやり取りは加熱する一方で、陽菜は二人の間でせわしなくオロオロしていた。 「御主人様」 喧騒の中、イブキのハスキーボイスが響き、二人はぴたりと言い合いをやめる。それに合わせ、イブキは眼鏡のツルをくいっと持ちあげた。 その動作はキャラ作りでも何でもなく単なるイブキの癖なのだが、もう何年も続けてきたそれは、違和感なく様になっている。 「お料理が冷めてしまいます。ダイニングに参りましょう」 表情一つ変えず、事務的に宣った。 「クールなイブキさん、萌えー!」 「……さ、参りましょう」 イブキは奇声をスルーしつつ、誰にも表情を見せないようにくるりと方向転換し、雅人をダイニングへ誘導した。
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