体調管理はしっかりしましょう

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なんだか気恥ずかしい雰囲気になり、これからどうしようかと考えていたら、雅人はずっと両手でイブキの右手を握り締めていたことに気付く。 「あ、すいません。手、勝手に握っちゃって」 その手を優しく離そうとする。 しかし、 「痛ッ!?」 イブキが手の甲に爪を立てて離さなかった。 「ちょ、イブキさん?」 「……御主人様は、よくわかりません」 イブキが独り言のように唇を動かす。 「な、何が……? 自分で言うのも変だけど、俺はけっこー単純な人間だと思いますよ?」 訳がわからない、といった表情をする雅人に、イブキは先程とは打って変わって弾劾するような視線を投げかけた。 「御主人様は言うこととすることがバラバラです。いつも優しくして、心に踏み込まなかったり、かと思えば私には遠慮するなと言ったり……」 「え、踏み込んでない感じしました?」 イブキは胸郭を萎ませて、ため息ひとつ。 「やはりというべきでしょうか……無自覚だったのですか。ええ、この際ですから『遠慮せず』言わせて頂きます。遠慮してるのは、御主人様の方ではないのですか?」 「そんなつもりはないですよ。ただ、遠慮って言うか、イブキさんは手を握られるとかそういうこと嫌かと思って……」 「凛や陽菜には露骨なセクハラをするのに?」 「それはケースバイケースの配慮です」 「それが余計な遠慮だと言うのです」
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