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何故か機嫌の悪そうなイブキに、雅人はなんとか意思の共有を計ろうと模索。
「……えーと、つまり、イブキさんもセクハラされたいってことですか? って、痛い! 爪立てないで!」
「そうは言っておりません。頭沸いてるんですか? 中身を味噌汁の具にしますよ?」
「それ食う側も悲劇ですよ!」
イブキはやれやれといった表情で顔ごと視線をそらし、雅人を窺うような様子を見せてから、もごもごと喋り出した。
「ですから、まあ……さっき、頬を引っ張られたのは……ええ、御主人様が、私に遠慮していない感じがして……その……ちょっとだけ、嬉しかったですよ」
意外な返答に、雅人は目を見開く。
「嬉しかったんですか?」
イブキは視線を合わせてはくれない。
「いえ、嬉しかったは言い過ぎました。まあ、悪い気は、しませんでした」
イブキのごまかすような物言いに対して、雅人は神妙な面持ちでゆっくり頷いた。
「なるほど。わかりました」
「何がですか、御主人様?」
雅人は真剣な目でイブキを見据える。
「イブキさん、また、ほっぺた触っていいですか!?」
「ぶはっ!? げほげほっ!」
「おわ!? だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫かと問い質したいのは貴方の思考回路です!」
「俺の考えた末の結論です! イブキさんに、もっと近づきたいんです! 心も体も!」
「だからって……」
「ダメですか?」
「駄目です」
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