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反対されてもなお、雅人は自分の胸の前で、祈るようにイブキの手を両手で包んだ。
「イブキさんの、すべすべで柔らかい頬が、忘れられないんです!」
「褒めてるように聞こえますが、ただの御自分の願望ですからね、それ」
雅人の主張に、イブキはジト目を向けた。
「う……手厳しい……。でも、イブキさんと親密になりたいのも、ほっぺた触りたいのも、俺の本音です!」
言う雅人も、顔が真っ赤だった。
決して男らしい顔立ちではなくて、どこか呑気で愛嬌のある顔。
それでも今はその真剣な眼差しが、イブキには不思議と魅力的に見えた。
「…………」
イブキはしばし唇を強く結んでいたが、一度深く息を吐いてから、答える。
「はあ……。……それが本音だということは、とっくに存じ上げておりますよ。ええ」
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