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雅人がツッコミに疲れたところで、凛がぽつりと独り言。
「……でも、正直、あんま好きじゃねぇよ……この体」
「……そうなのか?」
雅人が反応してきたことに凛はチッ、と舌打ちしてから、そっぽを向いたまま答える。
「ホント、周りからは変な目で見られるし。アタマワルイ男は寄ってくるし。やんなっちまう」
凛の言葉に、イブキと陽菜がビクッとした。
雅人は何かあったのか気になったが、どうやら伏せておきたいことだと察したため、そのままにしておいた。
「あ~。凛お姉ちゃん、告白されても端から端から断ってたもんね」
陽菜は空気を悪くしないよう、両手でカップを抱えたままフワフワと言う。
「フラれてもしつこく続いてるのは御主人様ぐらいですよ。皆さん、凛がきっぱり断るとそこですごすごと引き下がりますから」
イブキも淡々と補足してからお茶を啜る。
「なるほど。凛に断られたときの気持ちはわかる」
雅人には、凛がキレぎみに告白を断るのが想像できた。
「そう考えると、お兄ちゃん、すごいんだね」
「陽菜。それは気のせいだ。雅人は厚かましいだけだろ」
「まったくです。よっぽど図太い神経の持ち主なのでしょう、御主人様は」
凛とイブキの褒めてるのか、けなしてるのかよくわからない評価に雅人は苦笑する。
「そうは言われてもさ……だって、好きな人を簡単に諦めるなんてできないだろ?」
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