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教室に入り机に座ると、一人の女子が駆け寄ってきた。
「おはよー潤。あんた遅刻ギリギリじゃん」
と朝から大声でしゃべるコイツは大西梓。
俺が5歳のときに隣に引っ越してきた。
いわゆる幼馴染的な関係だ。
「仕方ねえだろ。俺朝弱いし」
「だから、毎朝私が行ってあげてるでしょ」
長いポニーテールを揺らし梓がぐいっと顔を近づけてくる。
潤「……っ!近寄るなよ」
俺は顔をスッと背ける。
その行動にイラッときたのか、さっきまで笑顔だった梓が急に不機嫌な顔付きになった。
「別にいいじゃん。何か悪いの?」
と梓がまた近付いてくる。
「やめろって!」
梓の顔が曇る。
「あっそ。そんなに私と一緒にいたくないか。小さい頃はもっと可愛くてずっと私にくっついてたのに、いつのまにこんな冷たくなったんだろうね?」
皮肉のように梓が憎たらしい声で言ってきた。
「前からだから」
俺も負けじとへりくつを並べる。
そして俺は柄にもなく読書を始める。
会話から逃げるためのよく使う手口だ。
梓が俺のほうをじっと見つめる。
数分の沈黙。
最初は黙って見ていた梓もとうとう我慢の限界が来たようだった。
「潤なんて知らない!もう話掛けてあげないし、朝も行かないからねっ、バカッ!!」
と机を軽く蹴って梓は自分の席へ戻っていった。
ふっー、別に頼んでないし。俺はため息をつく。
あいつの態度は些細なことや自分の機嫌によってクルクル変わる。
いわゆる典型的なワガガマお姫様だ。
よく言えば感情豊か。悪く言えば自己チュー。
ま、長年の付き合いだからもう慣れたけど……。
キーンコーンカーンコーン―
漆原先生「はいっ、朝のHR始めるよ~」
担任の漆原先生(独身)が入ってきた。
今日も長い長い授業がはじまる。
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