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「あ~、そっか」
女の子は俺の前に立ってボーっと俺を眺めている。
「言っとくけど、俺は食ってもおいしくないからな」
「???」
女の子が小首をかしげた。
そんなしぐさに一瞬ドキッとしたが、相手は未確認生物だ、と思い込まして冷静になる。
てか、俺を食う気はないらしい。
「えっと~、ちょっと待っとけ」
俺はソファーの隣にある食卓用の机を指差しながら冷蔵庫を開けた。
……何もない。
食べ物、と俺は考える。
「あ」
放課後にコンビニで買ったお菓子、があった。
俺は通学カバンを開ける。
「あのさ……」
俺の声にうつむいて座っていた女の子が顔を上げる。
「これ、食うか?」
コンビニ袋からチョコレートやグミ、ポテトチップスなど適当に机の上に散らばす。
その様子をじっと黙って見ていた女の子は頷いてチョコレートの包みを開けた。
「……」
だが、一向に食べようとはしない。
「あ、俺は食べないから。食べてていいぞ」
それを聞いてか、一口食べた。
「……おいしい」
味覚もあるみたいだった。
「そっか。もっとあるから好きなだけ食べていって良いぞ」
「ありがとうございます」
透き通った綺麗な声。
俺んちに未確認生物がいるなんて……。
俺は夢でも見ているようだった。
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