プロローグ

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 しばらくして。  彼――木村は、その人形――真紅というらしい――から一通りの説明を受けた。  薔薇乙女(ローゼンメイデン)の第五ドールであること、『アリス』になるためほかのローゼンメイデンと戦い、ローザミスティカを手に入れなければならないこと……。  おおよそはこんなことだ。 「さあ誓いなさい。その左手の指輪にキスをするのよ」  彼は自らの左手を見る。その薬指には、薔薇の指輪がはめられていた。 「そうすればおまえは私の下僕となる」 「……」  左手を口元までもっていく。  そしてそっと、  誓いをした――。 「……たしかに」  木村のキスを確認すると、真紅の周りに一瞬だけ、薔薇の花びらが舞った。
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