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第一譚 棘に溺れた二人のアリス
赤い血が、ぽたり、と垂れて
天使の像に黒点を散らす
私は、知らない
穢れない白の薔薇なんて
絡む蔦は全て茶色く
腕を、動かせば
脆く崩れる
そのなかにある柩は
なにかを守るようで
何かを閉じ込めるようで
いつでも虚しく開け放たれていた
私はいつだって
壊れかけてるの
心臓は、ぼろぼろで
継ぎ接ぎだらけなんだよ
【現実】の檻から逃げたアリスは
罪人なんだから
貴方の罪は、逃げたことです
ハートの女王の裁判
それでも、私は
迫る蔦から逃げ惑う
なにかを探して
手を伸ばして逃げられる
そのために
終焉の見えない魔女との
【罪追いごっこ】。
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