生存

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「それで、話を戻そうか。こちらの戦力のことだったね?」 「それについては私が話す。貴様は黙っていろ、余計なことを喋るな」 「お前ら兄弟は、相変わらず仕切り屋だな。自分絶対の性格は、父親譲りか」 「トムの言う通りだ」 「フフ、やはり君は僕ら兄弟が嫌いかい?ならなぜ、ゼウスについている?」 「お前には関係がない。話を戻したんじゃなかったか?」 「そらしたのは君だよ」 会話が乱雑になる中、ヘンリーはため息をついて額に手を当てる。 トムとハデスの仲が悪いのは明白。 二人を会わせた時点で、質疑応答が中断されることはわかっていた。 しかし、 「どうでもいいがよ、さっさと要件を済ませろや。暇でしょうがねぇぜ」 シャンクの指摘を受けて、険悪な空気が一変。 二人は睨み合っているが、言い合いは終わった。 「そっちの戦力はそいつだけか?」 再びシャンクが口を開き、ヘンリーに尋ねる。 が、 「二人だけなんてことはないさ。残りの戦力は監獄にいる」 答えたのはハデス。 トムはそれに鼻を鳴らし、棒を側に置いて腕を組む。 「監獄の三人なら、政府が連れ出したわよ?残念だけど、あんた達の戦力にはならないわ」 不意にエリーが言い放ち、場の視線を集める。 彼女の言う通り、監獄の特別深部に収容されている三人の犯罪者は、英国政府が連れ出した。 どういう計画があったにしろ、彼らがヘンリーとハデスの戦力になることはない。 しかし、 「僕らが連れ出したいのは、君の言う三人とは違う人物だよ。おそらくはね」 エリーを指差し、ハデスは苦笑する。 その答えは、彼女だけでなくトムをも驚愕させた。 「ハデス、それ以上は言う必要ないぞ?」 そこでヘンリーが止めに入り、この議題は終了した。 次は、トムが答える番だ。
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