開催

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「あれは、マズイな」 バーナードのつぶやきに合わせるように、講堂内にいる者全員が、炎に目をやる。 続いて、侵入してきたのは凄まじい熱気。 皮膚や喉を焼け漕がすような、息もしずらくなるほどの熱気だ。 「真打ち登場か」 ガイは静かにランスを構え、入口の廊下を睨む。 ゆっくりと、ゆっくりと、廊下を進み、講堂内に足を踏み入れる男は、誰もが目を見開くほどの大男だった。 全身から放つ熱で床を溶かし、溶岩に変えていく。 その巨体から放たれる重圧、プレッシャーは、護衛の捜査官達を硬直させ、動けなくするほどだ。 しかし、例外もいる。 「てめぇがエリュシオンか。どれほどのもんか、確かめさせてもらうぜ!」 大量の血で生成した猟犬を動かし、現れたエリュシオン、ヘラクレスに襲いかかる。 が、 「・・・・・・」 猟犬は無言で立ち尽す彼に触れる寸前で蒸発。 音をたて、瞬く間に消え去った。 「あ?」 顔をしかめるジョンだが、 「紅蓮の序曲」 マルスが大爆発を起こし、間髪入れずに攻撃。 しかし、ヘラクレスは無傷のままそこに立っているだけだった。 「逃げ・・・ろ・・・」 バーナードは大量の汗を流しながら、皆に呼びかける。 「逃げろ!今の我々に勝ち目はない!」 彼の叫びで我に返った捜査官達は、すぐに避難を開始する。 「裏口から外へ出るんだ!逃げることだけを考えろ!」 現れた怪物を前に、なすすべがない。 だがそれでも、 「獅子炎森(ネメアズブレイズ)」 ヘラクレスの攻撃は開始される。
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