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「「総帥!」」
すぐに護衛が李の元に駆け寄り、安否を確認するが、派手に斬り刻まれた彼からは、もはや生気の欠片も感じられない。
「逃げ場はなし。講堂内にヘラクレスで外に俺じゃ、お前らも終わりだな」
タナトスは言いながら飛び下り、皆の前にふわりと降り立つ。
ヒラヒラとした黒服が、なんとも言えない雰囲気をかもし出した。
「貴様ぁッ!」
中国政府の郭が、李を殺された仇をとるべくタナトスに飛びかかる。
が、その拳はすり抜け、
「ぐがぁッ!?」
彼もまた、全身から血を噴いてその場に倒れた。
「俺の方が数が多いなァ。ヘラクレスの奴、珍しくこんなに取り逃がしたのか?」
瑠璃色に輝く瞳で数を確認しながら、タナトスはバーナードに手をかざす。
しかし、
「暴脈の序曲!」
「貫通刃裂!」
ジョンが血の渦を、キースが大気の刃を放ち、タナトスに何もさせない。
「おっと」
慌てることなくその場から姿を消し、地道の隣に移動したタナトスは、紫色の霧を全身から放出して周囲にいる者を弾き飛ばした。
「このッ!」
すぐにリカルドが灰を使い、壁を生成して防御するが、
「とりあえず飛んどきな!」
霧の放射範囲は広がる一方で、灰の壁を打ち破って一人残らず皆をふき飛ばす。
「まず、トップから殺るか」
そうつぶやき、放射した霧を周囲に集め直すタナトス。
そこで、
「俺が相手だ!」
ロンが立ち上がり、前へ出た。
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