開催

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3メートルはあるであろう巨体が、焔と熱気に包まれて見えなくなる。 それは球体状に展開し、辺りから溶岩を生成すると迷わず収束。 凄まじい熱を帯び、そこから九本の熱線を飛び出させた。 「・・・ッ!?」 「ぬぅ!」 鞭のように荒れ狂い、不規則に暴れるそれらをガイは回避し、ウェズレイは払い退ける。 すると九本の熱線はヘラクレスの側へ戻って制止し、その姿を変え始めた。 「あれはマズイな・・・」 現れたのは、九つの頭を持つ巨大な蛇。 ギリシャ神話に登場する怪物、ヒドラだ。 ヘラクレスを包む球体を胴体とし、九つの首をうごめかす。 「これ以上、防ぎきれん!」 ウェズレイの背後にいる赤い魔人が、その色を失っていく。 それは彼の力が、弱まっている証だ。 「本体を攻撃しようにも、どうすりゃいい・・・?」 汗を拭い、ガイが動く。 泡を使って宙を移動し、迫り来る二本の首をかわす。 だがもう一つの首が目の前に現れ、大きく開いた口から焔を吐き散らした。 「弾力気泡ッ!」 四角い泡を五重にして、なんとかそれを防ぐが、一瞬にして打ち破られ、まともに炎弾を受けてしまった。 「がッ・・・!」 「イギリスのぉ!」 ウェズレイが半透明になっている魔人の腕を伸ばし、ガイを掴んで救出。 しかし同時に、九本全ての首がウェズレイに襲いかかった。 「近寄るなぁあああ!」 反対の手に巨大な剣を生成し、握らせて振り抜く。 それで四本の首を斬り落としたが、 「無・・・駄・・・だ・・・」 ヘラクレスの言う通り、状況は打開しない。
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