17587人が本棚に入れています
本棚に追加
斬り落された焔は再びその切口に収束していき、瞬く間に修復を始める。
すると、機能停止していた四本の首の切口から、八本の首が姿を現した。
「一本を斬り落せば・・・二本になって生えてくるのかよ」
ガイは咳込み、口元を拭って溜った血を吐き捨てる。
「立てるか!?」
ウェズレイは彼を隣に下ろし、自分の能力を解除。
これ以上、力を維持していられないようだ。
「立てるに決まってるだろ」
そう言っているガイだが、顔や手に火傷を負っている。
命に支障はないものの、立っているのは辛そうだ。
「とりあえず、時間は稼げたろ。俺達も脱出して・・・こいつをブチ殺す作戦を立て直す!」
ガイの周囲に、彼の姿を隠すほどの大量の泡が出現する。
それはウェズレイの巨体をも完全に隠し、十三もの首を持つ焔の蛇の動きを制限する。
「錯乱気泡」
ガイがそうつぶやくと、泡に自分の姿を映して移動を開始。
まるで分身したように、ヘラクレスの目には何人ものガイとウェズレイが映っていた。
「逃げるぞ」
「あ、ああ!」
呆然とそれを見ていたウェズレイも、ガイに言われて壁際に走った。
「壁を壊せ!」
「むん!」
赤いオーラに包まれた右手で講堂の壁を殴り砕き、泡に隠れたまま外へ脱出。
ヘラクレスに追撃させることなく、二人は講堂内から外へ飛び出した。
すると・・・・・・
「炎屋熱掃(アウゲイアス・ブレイズ)」
ヘラクレスは、能力による全力発動を開始した。
最初のコメントを投稿しよう!