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「パーシー!」
ゼルが走り、タナトスに殴りかかる。
だがその拳は空を切り、ひらりとかわしたタナトスは立ち上がって距離を空ける。
「別に殺しちゃいねぇよ。【能力探知】は魅力的だし、この先、役に立つかも知れないからな」
「うるせぇ!」
再び拳を振り被るゼルを見て、タナトスは姿を消す。
そんな中、マルスはジョンの近くへと駆け寄ってきた。
「今の見たか?」
冷静な表情を浮かべて尋ねるマルスだが、疲労の汗が頬や首を伝っている。
「パーシーがやられた瞬間かよ?」
「違う。その後だ。ゼルの攻撃を、奴は能力を使わずにかわした」
それを聞いたジョンは、眉を寄せてゼルに視線を移す。
「面倒だっただけだろ?」
「かわせなかった・・・としたら?」
マルスもジョンも、ゼルの能力を熟知している。
【全てに触れ、掴む両手】を持つ彼の拳を、タナトスはただ身体能力で回避した。
これがどういう意味を持つのか、マルスは答えを出したいようだ。
しかし、
「んなこたぁどうでもいいんだよ。仲間が殺られてんだ・・・考える前に行動だろうよ!」
血で左腕を生成し、拳を握るジョン。
彼に考えることを求めても、無駄なようだ。
「ククク、次は誰が死ぬ?優先的に殺して欲しいってんなら、願いを聞くぜ?」
タナトスが姿を現したのは、マリアンの背後。
その気配を感じとった彼女はとっさに前へ飛び、振り向いて手をかざす。
「次はお前だ。俺が殺してやるよ!」
そこへジョンが乱入。
場は再び、荒れ狂う戦場と化す。
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