開催

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「序曲・・・混光」 右手に赤、左手に青の光を混ぜ合わせ、瞳に輝きを灯すロン。 彼の全身は白い光に包まれ、異様な雰囲気を周囲に撒き散らす。 神々しくもあり、不気味でもある。 地道は今のロンの姿に、そんな印象を受けていた。 「あの時と同じだな」 トムは少しも動揺することなく、足元に落ちていた長めの枝を拾いあげた。 それに自身の能力をかけ、鋭い木製の刀へ変える。 「前より俺は強くなった。お前の好きにはさせない」 七ヶ月前、まさにこの場所で、クリストファー・オフムという議員が暗殺された。 当時、彼の護衛任務を受けていたロンはそこで初めてトムと対峙し、激突。 結果は惨敗に終わり、議員は殺害されロンは重傷を負った。 しかし・・・ 「俺達はセラフィムを止めた。次はお前の番だ!」 あの時よりも遥かに、ロンは強くなっていた。 次々に現れる強敵達との激闘を経て、この青年は今、人知を超える力を手にしているのだ。 「貴様に興味はない。俺はそこの男を殺しに来ただけだ」 「させるか!」 ロンの両手から、白い光線がトムに向かって飛んでいく。 だが、単調な攻撃。 トムは小さく舌打ちすると、横に飛んでそれをかわす。 「口で言っても聞かないか」 左手を振り、斬撃を放つ。 ロンも横に飛んで回避し、片手から光線を撃ち返した。 その時・・・ 「ぐッ!?」 頭を抱え、地面に膝をつくロン。 精神が不安定になったことで能力は解除され、光線もかわされる。 「なん・・・だ・・・」 ロンの脳裏にフラッシュバックする、知るハズもない記憶の数々。 それが彼の心を支配し、その場へうつ伏せに倒れさせた。 「ロン!」 すぐにバーナードが駆け寄り、安否を確認。 「・・・どういうことだ?」 トムは眉を寄せ、不意に気絶した青年を見つめていた。
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