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「マジかヘラクレス・・・あれをここでやるかよ」
講堂の外で行われていた戦いは、沈黙と共に流されていった。
そこにいる誰もが見つめているのは、講堂を突き破る巨大な火柱。
凄まじい熱気を放出し、雲まで伸びるそれは、流れ落ちた水が溜るように空を覆っていく。
驚異的なスピードで拡大し、講堂付近のみならず林の上を通り、覆い尽す。
「なん・・・だ、こりゃあ・・・?」
放が呆然とつぶやくのも無理はない。
空全体が炎に覆われ、講堂から伸びる火柱は渦巻き、天から炎弾の雨が降り注ぎ始めた。
「あの馬鹿・・・面倒くせぇからってこれはねぇだろ」
タナトスは講堂を見つめ、この地獄絵図を巻き起こした人物に向かって悪態をつく。
「こっちに来る被害も考えろよ」
ため息をつき、姿を消して避難を開始。
それを見たゼル達も、我に返って避難を始めた。
「逃げるしかねぇ!とにかく走るんだ!」
降り注ぐ炎弾をふき飛ばし、皆が行動を開始。
倒れている者を近くにいる者が担ぎ、共に炎が消えている逃げ道へ走る。
そこで、まだ地に打ち伏せているパーシーに、燃える林の中から白い光線が迫り、直撃。
それは彼の全身を覆った後で、霧伏の光となって放たれた方向へと戻って行った。
「・・・!?」
そしてそれを、ジョンが唖然と見つめている。
その直後、
「チッ!」
彼の近くに炎弾が落下し、視界を塞ぐ。
「何をしてる!?」
マルスからの罵声を浴びながらも、ジョンは光の出所をもう一度確認。
だが、何も見えなかった。
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