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長い入浴を終えて居間に戻ると、台所から良い匂いがしてきた
「良い匂~い!」
「今日は焼き魚ねっ!」
『正解です。さぁ机に運ぶのを手伝って下さい』
「「はーい!」」
双子ちゃん達は元気よく返事をして、テーブルに料理を運び始めた
「あの、ユ鬼乃さん。料理を作って下さって、ありがとうございました」
沢山の料理がテーブルに並んでいくのを見て、私はユ鬼乃さんに頭を下げた
『いえ、このくらいこの家に住む以上、当然の事ですので、お気になさらないで下さい。それにあの子達をお風呂に入れて下さり、こちらこそありがとうございました』
「いえっ!そんな大変な事じゃないですしっ!」
『じゃあお互い様ですね』
「そうですね」
私達は二人して笑った
『でも本当助かりましたよ。あの子達はいつもお風呂の時暴れるから大変なんですよ』
「えっ?全然平気でしたけど?」
『えっ?何故でしょう……いつもなら泳いだり走ったり大変なのですが……』
……え?ユ鬼乃さんの家のお風呂ってそんなに広いの?
「ユ鬼乃さん、二人が暴れなかった理由が分かりましたよ」
『何故なのですか?』
「それは、私の家のお風呂が狭くて出来なかっただけですよ」
『……そうでしたか……』
ユ鬼乃さんは気にする事は無いと言うような優しい笑顔を向けてきた
止めて下さい!その笑顔!!
なんだか惨めな気持ちになってきた
「ちょっと!二人とも!ご飯運び終わったわよっ!」
「早く食べよ~」
『はいはい、分かりましたよ』
皆席に着くと双子ちゃん達が声を揃え
「「いただきますっ!!」」
と元気良く言い、つい、つられて私も元気良く
「いただきますっ!」
と言ってしまった
恥ずかしい……
『はい、召し上がれ』
ユ鬼乃さんはクスクス笑っていた
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