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時は平安
満月が綺麗な静かな夜
一つの歯車が軋みました
………………………………………
「鬼は鬼。いくら心を入れ替えようと、いつ自我を失うか分からない、危険な化け物なのです」
「……」
「貴女様もお分かりでしょう?鬼は人間の敵。倒すべきなのです。……さぁ、貴女の式神を渡して下さい。さすれば他の小妖怪達は見逃してあげますよ」
「……ふぅ、ここまで言われたら、仕方ありませんね……」
「やっと決心して頂けましたか!」
「はい、決心しました」
『……』
「私は貴方達と戦います」
「なっ!?」
『!!』
「私の式神は渡しません。これが私の決心です」
「我等と戦って勝てるとでも!?」
「さぁ?やってみないと分かりませんわ」
「後悔する事になりますよ?」
「後悔なんてしませんよ。さぁ、話はこれでおしまいです。お帰り下さい」
………
『牡丹様、本当によろしいのですか?』
《オレは戦うのに賛成だぜ!》
『お前には聞いていない』
<……僕等が居なくなれば良い……>
「駄目よ。君達を死なす訳にはいかない。君達は私の家族ですもの。家族を守って何が悪いの」
『ですが、他の者達は何と言うか……』
「きっと皆も分かってくれるわよ」
《まぁ、オレ様が一人であっという間に勝ってみせるぜ!》
『馬鹿』
<無理……>
《あ゙ぁ?》
「確かに無理ね」
《そんな牡丹までっ!?》
「でも他の子達も協力してくれるから大丈夫よ」
『それは、どうでしょう……』
<……きっと、大丈夫>
《何で大丈夫って言い切れるんだよ》
<皆、姫が好きだから……姫が言えば手伝ってくれる……>
『それは否定出来ませんね』
《まぁ、牡丹は人望の塊だからな》
「そんな人望とかじゃないよ、皆家族だから。君達が居なくなったら皆も悲しがるよ」
<姫も悲しい……?>
「うん、悲しい。悲しいのが嫌だから私は戦うよ」
《それお前の我が儘じゃね?》
『こらっ!鬼焔っ!』
「あは、そうかもね」
『牡丹様まで何を!?』
「でも私の我が儘で君達が死なないのなら、私はいくらでも我が儘になるよ」
<姫……>
「さぁ、今日はもう遅いし、寝ましょう!明日からは忙しくなるよ」
《オレ様も眠いぜ》
<……スー……>
《覇鬼なんてもう寝てやがるぜ》
『全く、呑気な方々ですね』
「……ユ鬼乃」
『はい、何ですか?』
「あんまり考え過ぎると禿げるよ?」
『…………』
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