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『……おい、てめぇ、ちょっと触っただけだと?ふざけるのも大概にしろよ?あぁ?』
ユ鬼乃さんはグッと鬼焔さんの胸倉を掴んで、いつもより大分低い声で言った
《ちょっ、おまっ!目据わってるって!そんな怒るなよ!?》
『誰が怒らせたんだ?会って早々主に掴み掛かるわ、胸揉むわ、いい加減にしろよ、なぁ?』
《わ、分かった!オレが悪かった!》
『当たり前だ。お前が悪く無くて誰が悪いってんだ?』
いつの間にかユ鬼乃さんの頭には角が生えていた
《す、すいませんでした……》
「ユ鬼乃怖ぁい……」
「さすが鬼ね」
「(怖い……)」
『オレに謝ってどうするんだ。椿様に謝れ』
ユ鬼乃さんは鬼焔さんの首根っこを掴んで私の方に向けた
《……すいませんでした……》
『声が小さい』
《すいませんでしたっ!!》
鬼焔さんはかなり怯えている
『椿様、許して頂けますか?』
ユ鬼乃さんは角を引っ込めて申し訳なさそうな顔で聞いてきた
鬼焔さんは泣きそうな顔をしている
「……えぇ、私もちょっとびっくりしただけですし、その……鬼焔さんも反省しているみたいですし……」
鬼焔さんを見ているとだんだん可哀相になってきた
『椿様、ありがとうございます。椿様が優しくて良かったですね、鬼焔。本当ならば指の一本や二本切り落としてやろうと思ったのに……』
《ひぃいっ!椿っ!ホントありがとうっ!》
鬼焔さんが涙目で抱き着いてきた
「いえいえ」
私は苦笑してしまった
『……鬼焔、離れなさい』
《あ゙っ!》
ユ鬼乃さんの一言で鬼焔さんはバッと離れた
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