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時は流れ
今は平成
高校帰りの至って普通の
一人の少女
彼女の歯車はこれから動き出す
………………………………………
「(あーあ、一人で帰るのつまらないなぁ)」
今日は久々に友達の加奈が部活に出ると言い出し、帰宅部の私は一人で家に帰っていた
「(家帰って何しようかな……する事無いし、寝よう……ん?)」
私が色々考えながら歩いていると、目の前で双子らしき小さな女の子と男の子が喧嘩をしていた
「ね~、またユ鬼乃に聞こうよ~」
「嫌よっ!また怒られちゃうじゃないっ!確か此処を真っ直ぐで合ってるはずよっ!」
どうやら道に迷ってしまったらしい
此処ら辺なら道分かるし、声かけてあげよう
「あのぅ……」
「何よっ!……あっ!!」
「あっ!牡丹だっ!」
「へ?ボタン?」
私が声をかけると二人は目を真ん丸くして驚いた顔をした
「馬鹿ね!今はもう牡丹じゃないのよ!」
「あ、そうか。今は……え~っと……」
「忘れたの!?ホントあんたは馬鹿ねっ!今は椿よっ!ねぇ、貴女椿よねっ!?」
女の子の方が私に聞いてきた
「えっ?そうだけど……何で私の名前知ってるの?」
「ヤッター!見付けたよっ!これでユ鬼乃も褒めてくれるよ!」
「よしっ、早く噴水公園
まで行きましょう!!」
二人は私を無視して盛り上がっている
「(えー……、迷子じゃないの?と言うか、何で私の名前……?)」
「何ボケッとしてるのよっ!あんたも行くのよっ!」
「えっ?ちょっ、何!?何処に行くの!?」
女の子が私の手を引っ張って早足で歩いて行ってしまう
「だーかーらー噴水公園だってば!」
「ユ鬼乃に通信するんだよ~」
「ちょっと待って!何で私まで行かなきゃいけないの!?」
「はぁ?だってあんた元牡丹でしょ?皆あんたを捜してたんだからね!?」
「幸ちゃん、それを今椿に言ってもきっと分かんないと思うよ~?」
男の子の言う通り全く意味が分からない
牡丹って何?
「あぁ、そうだったわね。あー、もうめんどくさいからユ鬼乃に話してもらうわっ!とにかく噴水公園に行くわよっ!」
「えっ!?あっ!ちょっと待って!」
「もうっ!うるさいわねっ!何よっ!?」
「あの、噴水公園はさっきの角を右に曲がるんだよ?」
「…………」
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