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私達は暫く歩いてやっと噴水公園に辿り着いた
「やっと着いた~」
「でも予定より遅くなっちゃったわっ!福が歩くの遅いからよっ!」
「え~!幸ちゃんが方向音痴だからでしょ~?」
「何よっ!私のせいだって言うの!?」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて?ほら、誰かに連絡するんじゃなかったの?」
私が喧嘩の仲裁に入ると、二人は「あっ」と声を合わせ、ピタリと止まった
「そうだ!早くユ鬼乃に知らせなきゃ!」
「噴水は何処っ!?」
「噴水はこっちだよ」
噴水公園は名前の通り大きな噴水が公園のど真ん中にある
「(そういえばこの子達、誰かと通信するって言ってたけど、通信って……?待ち合わせの事かな?)」
私達が噴水に着くと双子ちゃん達は噴水を覗き込んだ
「あんまり身を乗り出したら危ないよ!?」
「¢£%#……」
「&*@§……」
二人は噴水に向かって、何か呪文みたいな言葉を唱え始めてしまった
「(な、なんなの!?)ね、ねぇ」
私が声をかけようとしたら、先に女の子が声を出した
「ユ鬼乃っ!?ねぇ、聞こえてるっ!?ねぇってばっ!!」
女の子が噴水に向かって話し出した
「(何してるの!?)」
周りに人が居ないからまだ良いけれども、ちょっと止めて欲しい
『え
ぇ、聞こえてますよ。ずいぶん遅かったですね。また迷子になっていたのですか?』
「ち、違うもんっ!!」
……え?
今確かに噴水から男の人の声が聞こえた
「(何これ……なんなのこれ……)」
私が呆然としていると男の子も噴水に向かって話出した
「それよりもユ鬼乃聞いてよっ!牡丹……じゃなかった、椿見付けたよ!!」
『えっ!?』
「凄いでしょっ!!」
「褒めて!褒めて!」
『……貴方達、ちゃんと椿様か確かめましたか?』
「「へ?」」
『苗字もちゃんと聞きましたか?』
「あ゙っ!」
『……聞いてなかったのですね……』
「で、でもちゃんと椿だよっ!?牡丹そっくりだもん!」
「そうよっ!見たら分かるわよっ!ちょっと椿きてよっ!!」
「えっ!?あっ!ちょっ!!」
ぼーっと二人のやり取りを見ていたら、女の子に手を掴まれ噴水の前まで連れてこられた
「椿っ!覗いてみてっ!」
私は男の子にそう言われ、そーっと噴水を覗き込んだ
「……あっ」
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