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噴水を覗くとそこには、白髪の綺麗な顔をした男の人がいた
「……(綺麗な人……)」
『……椿様……』
男の人は私と目が合うと嬉しそうな、しかし、どこか悲しそうな笑みを浮かべた
「あ、あのぅ……すいませんが、色々とお聞きしてよろしいでしょうか?」
私はちょっと混乱していた
だって私を捜していただの、噴水に男の人が写って会話するだの、私の常識を遥かに超えていたのだ
『あぁ、では今そちらに行きますので、少々お離れ下さい』
「え?」
「椿っ!ちょっと離れて!お水かかっちゃうよ!」
男の子が私の手を引いて、何歩か後ろに下がった
すると、噴水の水がピタリと止まり、水面が光り出した
「ま、眩しい……」
私がついつぶってしまった目をうっすらと開けると、光っている噴水から先程の男の人が出てきた
「!!!?」
私は驚いて目をしばたいていると、男の人は何事も無かったように、噴水から下り私の前まで歩いてきた
『はじめまして、陣内椿様』
男の人は優しそうな微笑みを浮かべ、ニコニコと話し掛けてきた
「は、はじめ、まして……」
『私は椿様の式神、ユ鬼乃(ゆきの)と申します』
「しき、がみ…?」
『はい』
「式神ってあの陰陽師が紙を人形に切って作るあ
れですか?」
『そうですが、少々違いますね。私は紙では無く鬼です』
「へ?……鬼?」
『はい』
「そうですか……って、鬼ぃいいいっ!?」
『はい、鬼です』
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