プロローグ

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「モデルやってみませんか」 始まりは突然だった。 ―なに、これナンパ‥? お母さんが 「美和、あんた変な人にはついてっちゃだめよ」 って言ってたけど、 今まさに目の前に立つこの人こそが、それなんじゃないだろうか。 あなた年相応な格好しなさいよって言いたくなるような、 紺のぴちぴちジャケットにダメージデニムを履いた、お父さんと同い年くらいのおじさん。 私が険しい顔をしてじっと黙って立っているからか、 「あなたモデルやってみませんか」 もう一度声をかけてきた。 息が届きそう。顔が近い‥ 反応がない私に全く動じず、じっと目を見据えてくる。 彼はどうやら本気らしかった。
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