プロローグ

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「え、と‥‥モデル‥ですか」 「そう、モデル」 私がようやく返事をすると、彼は少し笑顔になって答えた。 「モデル、ですくぁ‥‥」 随分マヌケな声が出た。 ちょっと顔が熱くなるのがわかる。 「私はこういう者でして、」 ポケットからすっと名刺が取り出される。 ―ああ、慣れてるな 子どもの私でもわかるくらい、優雅な手つきで名刺は私の目の前に出された。 『〇〇プロダクション 人事部 佐伯正則』 「有名なのは今、monmoの専属モデルやってる志保ちゃんとかかな。あと、まだ雑誌の専属モデルの子とか、名前売れてないけどちょくちょく広告で声かかる子とか‥」 ―呆然とした。 この人はなんの話をしてるのだろう‥ monmoなら私も読んだことがあるし、志保ちゃんに至ってはかなりのファンである。
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