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お母さんとの会話を終えた僕は
無駄に重たい通学バッグを
食卓の近くの床に
ゆっくりと置いた。
音を立てると、下の階の人に
迷惑がかかるからと
昔、お母さんによく言われたのを
今の事の様に覚えている。
そういえばあの頃は
お母さんはまだ優しかったな……
僕は玄関へ行き、
ドアに取り付けられている
郵便受けを開いた。
パサッ……
「──ん?」
郵便受けから何かが出てきた。
回覧板じゃないみたいだけど。
「なんじゃこりゃ?」
僕がそう言いながら拾ったのは
青い色をした封筒だった。
サラリーマンなどが
よく脇に挟んでるような
よく見る薄く青い封筒だ。
「安達…徹様…って、僕宛て!?」
僕は思わず声を高らかにした。
無理もなかった。
なんせ、僕に手紙はもちろんのこと、メールを送ってくれる人すらいなかったから。
ずっと1人だったから。
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