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「何? 荻野君。」
「遅ぇんだよ、安達。さっさと来いや。」
荻野君――僕を苛めてくるやつらを纏めるリーダーは
煙草を片手に教室の隅の机に
どっしりと座ったまま
僕に向かってそう言った。
どうやら かなり苛立っているみたいだ。
いや、僕を脅すために
そういう態度をとってるのだろう。
もう日常茶飯事の事だから
特には気に留めないけど。
「なぁ、安達。一緒に松野屋に
牛丼食いに行こうぜ。」
荻野君はズカズカと大股で
僕に歩み寄ると、
ガッと勢いよく僕の肩に
両手を乗せて言ってきた。
僕は苦痛で顔を歪めた。
周りにいる奴らは
それを見ながらニヤニヤしている。
自分はやられる側にならないことを知っているからか、
見てみぬフリすらする気はないらしい。
僕はそういう奴らが
この荻野君以上に嫌いだ。
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