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「はいは~い!
キメラ小隊のみんな~っ!準備は出来たかな~っ?
ブリーフィングはっじめるよ~っ!」
と、説明を挟む前にブリーフィングルームの正面モニターに、青紫色の外ハネショートカットのメガネの女性が映し出された。
「ちょっとッ!レイさんっ!
あたしらはそんな部隊名、お断りって言ってんでしょッ!?」
「あり?違ったっけ?
ん~……あぁ!ファイザード紅蓮隊だっけ?」
「ソレも違いますッ!!!
あたしが原因みたいに言わないでくださいッ!!!」
「おおっ!
今日もレオナちゃんは元気いっぱいだね~っ!
あのさぁ、話変わるんだけどぉ…」
ムキになって騒ぎ立てるレオナなど、どこ吹く風。
見事なまでにマイペースなこのお方は…レイ=ナイジア中佐。
この態度や、全身から立ち上るやる気の無さからは、そうは見えないのだが、この基地の情報管制を取り仕切っている、とても優秀な人物である。
ま、言い換えれば、この気さくな人柄とそのとっつきやすさが、この基地の誰もに好意的な印象を持たれる一因とも言え……。
「ほら、シン君なんだけどさぁ?
【MIA】になって、もう3ヶ月経っちゃったしょ?
いくら探しても髪の毛一本、骨の一片も見っかんねぇ、もう探してもムダだ~っ!
…ってぇワケで、捜索打ち切り、ついでに登録抹消になっちゃったっ!
ま、あの子だったら、どこ行っても元気でやってけるっしょっ!
ナンマンダブ、ナンマンダブ~っ!」
…。
……。
………ぐすっ。
さ…さて、気を取り直して、この【MIA】という聞き慣れない単語。
Missing
In
Action
簡単に言えば、『作戦行動中行方不明』や『戦闘中行方不明』と言われる。
要は作戦の途中で、行方がわからなくなり、生きてるのか、死んでるのかさえ不明という事である。
そう、このキメラ小隊と呼ばれる小隊には……かつて、もうひとりの隊員と、その彼を兄と慕うふたりの少女達が『居た』。
その彼が、とある作戦の途中で行方不明になったのが三ヶ月前…。
そして、その報せを聞いた彼の妹達もまた…。
『心配無用
ボクたちのコトはさがさなくていいよ~
リーゼ&しゃろ』
とだけ、書き置きを残して、ぷっつりと行方がわからなくなってしまった…。
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