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さて、話の出鼻をいきなりくじかれたヴァン総司令。
所詮は一般兵士であるレオナなど一喝して、一方的に命令すれば済むものを…。
「ぬぐ……む…ぅ……ぬぅぅ……」
このひとは律儀というか、度が過ぎる堅物というか、なんとか簡潔に事情を説明しようと考え込み始めた。
「ぐぬぅ……うぬぅ……ぬぐぐ……」
そうして、見てるこちらが疲れるような顔で、さんざん思い悩んだ挙句に、ヴァン総司令がやっと口にした言葉が…。
「むぐぐ……む!
『アレ』が生存しているならば、既に帰還している」
コレだった…。
「そんなっ!?
たしかにリスレクトから、連絡すらありません…。
仮に生存していたとしても、彼にはもう帰還の意思が無い…。
だから捜索自体も無益、登録も抹消すると言うのですかっ!?」
そして、なせだかエリス少尉にはヴァン総司令の意図が全部通じた…。
「うぬ」
どこか安心したように、悠然と頷くヴァン総司令。
その彼の次なるひと言が…。
「『アレ』が抜けて不安ならば…」
「はぁッ!!?
バカレクトが居なくて……不安ッ!!?
あたしがッ!?あたしらがッ!!?」
レオナに火を着けた。
「冗談じゃありませんッ!!!
あんなバカが居なくても任務に支障なんか、全くッ!全然ッ!微塵もありませんッ!!!」
「ちょ…ちょっとぉ!?レオナちゃん!?
どこ行くのっ!?まだブリーフィング終わって…」
「装備の準備と点検ッ!!!
どんな任務だろうと関係無いわッ!!!
これ以上無いってぐらい完璧に達成してやればいいんでしょッ!!!」
そうして、アリアの制止も全く意に介さず、ブリーフィングルームを飛び出したレオナは…。
「ほんっとッ!
あのバカは居ても居なくてもムカつくんだからッ!!!
どっちでもムカつくんだから、さっさと帰って来いってのよッ!!!」
武器庫へと続く通路をズンズン突き進んで行った。
今回の任務でかつて無い『難敵』と遭遇する事になるとも知らずに…。
Briefing End!!!
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