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実際には、まだほんの数分も経ってないだろう…。
だが、いつ襲われるかという緊張が、隊員達の精神を徐々に、確実にすり減らしてゆく…。
「なぁッ?これってよ…。
たまたま電源が落ちたとかそんなんじゃねぇのかッ?」
「アランさん…。
さすがにソレはお気楽すぎですよ…」
「でもよぉ、そろそろ目も慣れてくる頃だぜ?
闇に乗じてってんなら、とっくにタイミング逃して…」
そうして、アランが緊張と警戒をわずかに緩めたその瞬間…。
カツン…。
アランの前方で不意に物音が響いた…。
「全員、迎撃体勢っ!!!」
「おっしゃあッ!待ちくたびれたぜッ!!!
エリス隊長ッ!俺らはとっくに目も慣れて臨戦態勢バッチリですよッ!!!」
エリス少尉に指示されるまでもなく、即座に物音のした方向に、各々の銃口を向ける隊員達。
それが『敵』の目論見どおりの行動だとは知らずに…。
いや、この状況に陥った彼女達には…。
『物音がした方に銃を向ける』
…という以外には既に選択肢自体が存在していなかった…。
暗闇と静寂の真っ只中…。
コロ…コロ…コロ…。
必死に目をこらして物音の正体を見極めようする隊員達の視線が、ただ一点に集まる…。
…コロ…コロ……カッ!!!!!
「くっ!?せ…閃光弾っ!?」
そして、暗闇を引き裂くように突如発生した眩い閃光に、視界の全てを真っ白に塗り潰された…。
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