Mission!!!

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「アンタの趣味なんて、いまさら聞いてないわよッ!!! こんなトコでなにフラフラしてんのって聞いてんでしょうがッ!?」 「あぁ、そっち? そう、あれは忘れもしない三ヶ月前のあの日…」 今にも噛み付いてきそうな剣幕のレオナを無視して、彼は回想モードに突入する。 ちなみに三ヶ月前のあの日とは…。 敵基地の中枢部に時限爆弾をセットしに向かった彼をほったらかして、レオナ達が動力炉を破壊。 暴走した動力炉の爆発により、敵基地が丸ごと消し飛んだあの日の事だろう。 「あの時…おれは真っ暗な瓦礫の下で思ったんだ…。 『あぁ…もうムリだ…。 おれにだって…幸せを求める権利ぐらいはあるハズなのに…』 …となっ!!!」 ……そりゃ、そうだ。 「…というワケで! おれによる!おれの為の!おれを幸せにする国家を作るコトにしたっ!!! その名も…『真聖リスレクト帝国』っ!!! 今後はリスレクト閣下と呼ぶがいいっ!!!」 さすがはリスレクト閣下、一般人とは根本的に発想のスケールから違う。 「……はぁ? アンタさ、アタマ打ったんじゃないの? 今なら、許してあげるからさっさとコレ解きなさいよ?」 リスレクト閣下の壮大なる理想は所詮、レオナ如きには理解の及ばぬモノらしい。 「断る。 だって、お前らも研究データ狙ってんだろ? おれもクライアントから、同じモン持って来いって言われてんだよ。 許せ!我が国はけっこうな財政難なのだっ!!!」 「そりゃ、アンタだけの国なんだから税収なんてないでしょ…」 「だからこそ、帝王たるおれが、せっせと異国に出稼ぎに来ておるのだっ!!!」 「あ…あはは…。 シンくんにとって、ここはもうよその国なんだ…」 そして、あの心優しいアリアですら、閣下の寛大なる慈愛の心は理解出来ないらしい…。 「そうとも!我が国の領土…四畳半バストイレ付きを守り抜きっ! 我が愛しの国民を飢えさせない為ならば…。 我はかつての仲間とすら、刃を交えることをいとわぬっ!!!」 「…兄さん閣下、バンザーイ…!!!」 「わ~いっ♪アニキ閣下サイコ~~っ!!!」 「その…すまないんだが、リスレクト…閣下…? 私には彼女達が…なんというかだね… ふざけているようにしか見えないんだが…」 更に悲しいことに、エリス少尉ですら閣下の悲壮なる覚悟と、閣下と国民との深き結束を理解してはくれなかった…。
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