626人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「あ~~~ッ!スッとしたわッ!」
「え~っと…わたしもついカッとなっちゃったんだけど…。
これって…ちょっとやりすぎなような気が…」
ありったけの弾薬を撃ち尽くし晴れ晴れとした表情を浮かべるレオナと、今更ながら不安げに表情を曇らせるアリア。
「もぉ…ティアもレオナも加減を知らないんだから。
シン、ちゃんと原型留めてるかしら?」
そして、物騒なコトを呟きながら困ったような表情を浮かべるアイリさん。
そんな中…。
「………」
師匠だけが着弾の際に巻き起こり、いまだもうもうと立ち込める爆煙を見つめていた。
『何かを期待する』
まさにそう形容するに相応しい、そんな瞳で…。
そして…。
彼女が待ち望んだ『異変』は意外とすぐに現れた。
「さぁッ!アリアッ!
あとは正々堂々、ティアお姉様に挑戦よッ!!!
みんなを起こして…ごほッ!?
げほッ…ごほッ…な…なにコレッ!?急に喉が…」
「レ…レオナちゃぁ…んっ!?
こほっ…こほっ…なんだか涙も止まんないよぉっ!?
この煙…すっごく目に染みるよぉ~っ!!?」
その場に居る全員に襲い掛かる、強烈な喉の違和感と目の異物感。
着弾の際に発生した粉塵…。
それがいつの間にか、その勢いを増し、この部屋一帯に充満していた…。
そして、この煙が喉や目に侵入した際の刺激は…。
「げほッ…ごほッ…な…なんだこりゃッ!!?」
「な…なんなんですかコレっ!?
め…目が…開けてられませんよっ!!?」
気絶していたアランとルカが目を覚ますほどの強烈さだった。
「はっ、ヤロウ…。
爆煙に紛れて、催涙ガス撒き散らしやがったな…?
まんまと吸っちまったぜ…こほっ…」
そうして、師匠がこの状況を楽しむように口の端を吊り上げたその時…。
『ピンポ~ンっ!!!
ここで皆さんにお知らせで~すっ!
既にこの部屋中に閣下特製強力催涙ガスが充満してま~すっ!!!
閣下みたいにガスマスク持ってないひとは注意した方がいいですよ~っ?
かぁ~かっかっかっ!!!』
我らが閣下の健在を知らせる勝利の笑い声がドコからともなく辺りに響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!