626人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
こうして、ボツンと取り残されたレオナ達、キメラ小隊の一行。
「じゃあ、さっきのは…。
全部あたしらをここに足止めする為のウソ?
あのバカ本人は、無線を囮にしてとっくに先に進んでたのッ!?」
まんまと出し抜かれたレオナは壊れかけた無線を握り締め、呆然とするばかり。
…だったりしたら、もっと可愛げというものもあるのだが…。
『…ザザッ…。
え?そりゃ、ウソに決まってんだろ?
でも、あんなリアリティの無いウソをよく信じた…』
グシャッ!!!!
「ふ…ふふっ……ろす…。
あのバカだけは絶対ぶっ殺すッ!!!」
軽々と無線を握り潰したレオナは、鬼のような形相で直通エレベーターへと続く通路へと突っ走っていった…。
「レ…レオナちゃ~んっ!?
みんな、行こっ!レオナちゃん止めないとほんとにシンくんがっ!?」
そして、慌てふためくアリアと一緒にキメラ小隊の隊員たちもレオナの後を追っていった…。
こうして、ここ中央エントランスには誰も居なくなった。
…かに思われたが。
…ガラ……ガラガラ…ッ!!!
怒涛の銃撃にさらされ、崩壊した壁の瓦礫の下から、のそのそ這い出してくる人影…。
「ふぅ、やれやれだぜ。
やっと、あいつらも行きやがったか」
我らがリスレクト閣下、そのひとである。
実は閣下は先に進んでなどいなかった。
というか、単純に瓦礫の下敷きになって身動きが出来なかった。
そこで閣下は催涙ガスの騒ぎに乗じて、奥へと続く通路の前に無線を放り投げた。
そうして、瓦礫の下に埋もれたまま、言葉巧みに、さも閣下自身は先へと進んだように見せかけたのだ!
そう!『無線を囮に先に進んだ』というのは閣下の巧妙な罠!
実際はさっさとこの部屋から、みんな出て行って欲しかっただけだったりする。
そうして、絶体絶命の窮地を弾丸の一発も使用せずに切り抜けた閣下は…。
「帰ろ、帰ろ。
師匠まで乱入してきたら、ムリだ」
レオナ達とは反対の方角に向かって、悠然と歩き出した。
「あ!シャロに頼まれた、じゃがいもどうすっかな?
依頼の報酬は入んないし、手持ちも無いしなぁ…」
そうして、しばらく思案した閣下は…。
「どうせ、この施設も吹っ飛ぶのは目に見えてるよね!」
…というワケで、閣下はこの研究施設の食料庫に向かって、優雅に歩き去っていった。
Mission End!!!
最初のコメントを投稿しよう!