626人が本棚に入れています
本棚に追加
…
……
………
「……おっそいッ!!!
チビスケッ!アンタ、ちゃんと場所伝えたんでしょうねッ!!!
っていうか、呼びに行ったんならそのまま連れて来なさいよッ!!!」
「だって資料を用意するから、先に行っててくれと言われて…。
でもたしかにおかしいですよね…。
ちゃんと第三ブリーフィングルームって伝えたんですが…」
「まぁた、部屋間違えて、どっか別んトコでポツンと待ってんのかもなぁ…くぁぁ…っとッ!?
だ…大丈夫ッ!ちゃんと起きてるぞッ!?」
そうして待ち疲れてあくびを漏らしたアランがレオナにギラリと睨まれて、ビクッと身を縮めた頃。
「すまない!待たせてしまったっ!
コピー機が紙詰まりを起こしてしまって…。
はぁ…ああいった機器はどうにも慣れなくて困る…。
いや、すなまい、直すのに時間がかかってしまった」
ブリーフィングルームに書類の束を抱えた、長い金色の髪を三つ編みでひとまとめにした女性が小走りで入ってきた。
女性、といっても彼女はアリアとひとつしか違わない18才。
左の目元の泣きボクロ、長いさらさらの金髪を後ろでまとめているせいで、時折ちらりと覗く白くしなやかな首筋。
それらからほのかに漂う自然な色気と、普段の凛々しく落ち着いた立ち振る舞いが大人びて見えてしまう要因だろう。
彼女はエリス=ティスト=シュナイゼ少尉。
なんの因果か、この個性豊かな面々を率いるハメになったこの部隊の小隊長である。
ま、彼女自身はそんな任務にも不満のひとつも覚えることなく、日夜、一生懸命に頑張っている。
「じゃ…じゃあ、全員揃ったところで早速始めようか…あ゛っ!?」
そうしてそそくさと資料を配ろうとするエリス少尉の手がピタリと止まった。
「うぅ……」
そして手にした資料を見つめる表情がみるみると曇っていく。
彼女の手にする紙切れ……なんの文章も印刷されていない白紙のコピー用紙。
どうやらコピー機を直せた事に安堵した彼女は、慌てていた事も手伝ってそのまま白紙の束を抱えてきたらしい。
肝心の資料はコピーもせずに…。
とまあ、少々カラ回りすることもあるがエリス少尉は人々の平和の為に日夜、一生懸命、元気一杯に頑張っているのだ!!!
最初のコメントを投稿しよう!