第1話

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桜が舞いはじめるこの季節。 今日から新しい制服を着て、新しい学校。 「これが最後の制服かあ」 学校を選んだ理由は家から近いから。 ただ、それだけ。 「でも可愛いから良かった!!」 親友の中川 優子(なかがわ ゆうこ)と登校なう!! ……っていってももうすぐ着くけどね。 「あっ!!」 いきなり優子が立ち止まった。 「どうしたの?」 あたしがそう聞けば目の前を指差す優子。 「何あれ?」 学校の門だと思われる近くには人だかりができていた。 「え?沙優(さゆ)知らないの?」 知らないもなにも、地元の高校だからといえ今日が初登校。 オープンスクールも来てないし、受験しに1回来ただけの学校のことなんて何も知るわけがない。 それは優子も同じことだと思うんだけどな。 「王子様だよ!!王子様っ!」 「は?王子様?」 王子様ってなんだ? どこかの国の人が来たの? こんなところに? 優子の発言が何も理解できない。 「花翔(かしょう)学園の先輩に王子様がいるの!!!」 花翔学園って今日から通う学校だけど…。 「すごくイケメンで何でもできるんだって!!!いつも人に囲まれてるから、まだ見たことないけど」 あ、王子様的な存在ってことか。 やっと分かったよ、優子ーっ。 「ふーん」 学校に近づけば近づくほど人の多さに驚くばかりだけど、そんなに興味はない。 だって、そんなの初耳だもん。 -
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