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「新入生はこちらです」
どうにか人だかりをよけながら学校の中に入ると、そう受付に案内された。
「お名前お願いします」
受付にいたのは先輩と思われる女の人で、とても綺麗な人だった。
「大河 沙優(おおかわ さゆ)です」
そう答えると綺麗な先輩は、ニコッと笑って
「沙優ちゃんね。えっと、6組かな。」
と、クラスを教えてくれた。
「あ、ありがとうございます。」
沙優は、そうお礼を言って、いつの間にか違う人のところで受付をしている優子のところにいこうとした。
すると、
「ねぇ、ここに来るときすごく人たくさんいたでしょ?」
と、綺麗な先輩に呼び止められた。
「あ、はい」
慣れない先輩との交流に戸惑いながら答えると先輩は
やっぱり
という顔をして
「今年も春真(はるま)くん目当てな新入生が多いってことか」
と、つぶやいた。
そんな先輩の言葉に
春真くんって誰だろう?
さっき優子が言ってた王子様のことかな?
なんて頭の中をフル回転させて立ち尽くしていた。
「あ、いきなりごめんね?私は2年の安藤 麻里奈(あんどう まりな)です。よろしく」
「あ、はい」
麻里奈先輩、麻里奈先輩……
次は、頭の中で
何度もそう繰り返して
綺麗な先輩=麻里奈先輩
と、結び付かせた。
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