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この雨と共に、自分の心の汚れも流してくれたらどれだけ嬉しいだろう。 携帯片手に、見上げた視界に窓。 ふと感じた願い。 いや、おそらく本音。 十秒くらい外を見つめて、携帯の画面にまた視線を戻す。 「別れよう。」 短い言葉はひどく冷酷で、耳に入る雨音が更に冷たさを倍増させた。 でも悪いのは彼じゃないんだ。 彼はとても粘った方。 原因はすべて私にある。 短髪の爽やかな彼。 筋肉質で野性的な彼。 ある時は頭脳派でスマートな彼。 私はころころと男を弄んできた女。 ザックリ言えば魔性の女。 悪く言えば…尻軽女? だけど、魔性とも尻軽だとも、まったく思わない。 今の世の中、男女の交遊なんてたくさんある。 私もその中の一人ってだけで。 「寝よ…。」 今までありがとう、楽しかったよ。と当たり障りのない返事。 それと同時に、携帯のリストにまた一つ空席が出来た。
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