第1話"運命と必然"

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見たこともない場所に、私はいた。 高層ビルなんてひとつもない。木造の平屋が続く町並み。 然程大きくもない川に架かる、これまた木造の小さな橋。 道行く人々はまるで時代劇の様な風貌。 綺麗に結われた黒髪に、腰には立派な刀が二つ。 まるで洋服を着ている私が浮いてるみたい。 「ど…どういうこと…」 私の疑問はポツリと虚しく宙に舞う。 「おい、お嬢ちゃん。おかしな格好してんなぁ?」 おかしな格好をしているお嬢ちゃんとは私のことだろうか。 失礼な野郎だ…と一瞬ムッとしたが、振り返り失礼な野郎の姿を目にした途端、背筋が凍った。 「ほぉ。異人のようなナリをしてるが言葉は通じるんか」 そう言ってニヤニヤと笑う男の腰には、やはり立派な刀が添えられていた。 いかにも悪そうな顔をしている失礼な野郎に、私は怯まずにはいられない。 「なっ…何かご用ですか」 やっとの思いで発した声は恐怖から震えている。 ジリジリと私に歩み寄る失礼な野郎が気色悪くてたまらず、私もゆっくりと後退りをした。 「なかなかの別嬪さんだなぁ。そんなに怖がるんじゃねぇよ」 不意に腕を掴まれ私は必死に抵抗をするが、やはり視線は自然と腰の刀にいってしまう。 「…っは、離して!!!!」 今いる場所も、この状況も全く理解できない。 何故こんなとこにいるのか。 何故こうなってしまったのか。 「うっせぇな!!暴れるんじゃねえよ!」 より一層強く掴まれた腕が、痛い。
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