第1話"運命と必然"

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「っやめて…!!!!」 私の渾身の叫びも、夜の町に虚しく響くだけ。 皆チラリとこちらを見るが、所謂見て見ぬふり。 「おっきい声出すんじゃねぇ!!殺されてぇのか!!」 怒鳴る男の手にはついに刀が握られ、その切っ先は確実に私を狙っていた。 ジワリと汗が背中を伝う。 膝はガクガクと震え、追いやられた壁にピタリと体をくっつけることにより、かろうじて立っていられた。 男の切っ先は私の喉をツンと刺激し、脅しているのか本当に殺してしまうのか…恐怖に耐えられず前者であることを願いながら、私はギュッと目を瞑った。 その瞬間だった。 「こんな時間に何してんですか、おにぃさん」 「なっ…貴様…壬生狼の…っっ」 みぶろ…? 私は男の反応からして味方が現れたかもしれないと思い、うっすらと目を開けた。 「抵抗しなければ命までは奪いませんよ」 そう涼しげに言い放つその姿は、まるで天使の顔をした悪魔の様だった。 「くそっ…こうなったらコイツの相手が先だ!!!」 「へぇ。刃向かうんですか」 「馬鹿にするな!!!壬生狼のくせしやがって!!」 「ならば…容赦はしませんよ」 瞬間、月明かりに照らされた鮮やか過ぎる程の紅が視界を遮った。
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