第1話"運命と必然"

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「ところで…あなた何故そんな格好してるんです?」 男は歩みを止めることなく、ただ淡々と言った。 「何故って…私からしてみれば、あなたこそなんで着物なんて着てるんですか?」 「おかしな人だ。日本では着物が主流でしょ?あなたの着ている物はまるで異国の物みたいですよ」 どういうことだろう。 私は会話をすればするほど、徐々に小さな違和感を感じていた。 私のことをおかしなナリだと言い、異人だと疑った。 まず、異人という言い方にも違和感を感じる。 そして東京を知らないと言った。 日本では着物が主流だと自信満々に訴える。 まるで… まるで昔の日本のようじゃないか。 まさか… と、非現実的なことが頭を過る。 私はその"まさか"を確かめるべく、男に尋ねた。 「あの…今、何年ですか?」
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