3・結局一番恐いのは人間

3/5
前へ
/15ページ
次へ
神影が近づいて来ると私は首元の髪をどけた。 「ごめんね…」 そう呟かれた後に首にチクリと痛みが走る。 神影の牙だ。 影達は自分の影番の血で本来の姿を取り戻す。 つまり、自分の影番の血でしか裁けないのだ。 ゴクッ… 何度やっても慣れないこの行為。神影の唇が離れると温かい舌が咬み痕をなぞった。 「春姫は何度やっても慣れないねぇ…」 神影は困ったように笑った。ラフな格好から、上物の着物へと変わり、黒い狼尻尾と耳が生えていた。 赤い瞳は炎のように揺らぎ、私を見つめていた。 「さて、君達は数も多けれりゃ地理も詳しいそうだね。」 神影の言葉に狐達の肩が震えた。 「店の案を出したのはアタシよ!アタシだけを裁きなさい!!」 狐鈴が庇うように前に一歩出た。その尻尾は震えていた。 「やだね。それじゃあ今度大変だからね… 情報収集が。」 「「「「はっ?」」」」 ・
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加