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神影が近づいて来ると私は首元の髪をどけた。
「ごめんね…」
そう呟かれた後に首にチクリと痛みが走る。
神影の牙だ。
影達は自分の影番の血で本来の姿を取り戻す。
つまり、自分の影番の血でしか裁けないのだ。
ゴクッ…
何度やっても慣れないこの行為。神影の唇が離れると温かい舌が咬み痕をなぞった。
「春姫は何度やっても慣れないねぇ…」
神影は困ったように笑った。ラフな格好から、上物の着物へと変わり、黒い狼尻尾と耳が生えていた。
赤い瞳は炎のように揺らぎ、私を見つめていた。
「さて、君達は数も多けれりゃ地理も詳しいそうだね。」
神影の言葉に狐達の肩が震えた。
「店の案を出したのはアタシよ!アタシだけを裁きなさい!!」
狐鈴が庇うように前に一歩出た。その尻尾は震えていた。
「やだね。それじゃあ今度大変だからね…
情報収集が。」
「「「「はっ?」」」」
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