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太鼓の音と笛の音色が外から聞こえる。
私は1人座敷牢で膝を抱えて畳を見つめていた。
シャンッ…
シャンッ…
鈴が鳴り始めると、ばば様達が何かの呪文を唱えている。
もうすぐ、現れるのだろう“影(カゲ)”が…
「何でこんなトコにいんの~?」
突然間の抜けた声がした。ここは鍵がしてあって誰も入れないはずなのに…
恐る恐る顔を上げると、ニッコリと笑う黒髪の少年がいた。
血のように赤い目が私を捕らえた。
「私…あの場所に行けないから。」
何故だか反らしたくとも、目が離せない。
「ふーん…もしかして、あのタヌキが今年の影番(カゲバン)?」
外にいる親戚のおじさんを指差した。
「そう…でも、失敗したみたい。影は「俺が影だよ?」」
少年はヘラッと笑った。
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