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赤いチャイナドレスに身を包んだ金髪の自称女がズカズカと近付いてきた。
「アタシは狐鈴(コリン)、ここのオーナーよ!」
腰に手を当てドヤ顔で自己紹介されても…どう答えればいいのでしょうか?
神影をチラッと見るとのんきにアクビをしていた。
「春姫~眠いよ➰。」
ぎゅむっと神影が抱き着いてきた。
「ちょ…今そんなんしてる場合じゃ…って重い!!」
ぎゃあぎゃあしていると、客らしきサラリーマンが目を覚ました。
「うわっ!何なんだ!?」
さっきまでキャバクラにいたのに、いつのまにやら店はなくなり化け狐がいれば驚くわな。
ちょっと同情していると、狐鈴がサラリーマンに近づいた。
黒タイツに赤いハイヒールを履いた足を振り上げ…
ドカッ
容赦なくサラリーマンのビールっ腹を踏みつけた。
「あらン…今まで癒してやってたのに随分な言い種ねぇ。」
狐鈴は楽しそうにグリグリとヒールをねじ込ませる。
「会社からも家庭からも見放され、絶望していた時に見つけた誰かに必要とされる場所。それがお金によって得られるものであってもすがり付く、いやらしく卑しく醜い…」
狐鈴はスッとヒールを離した。そして、仲間の方へとカツカツと靴音を響かせ戻った。
クルリと振り返るとその顔は楽しそうで馬鹿馬鹿しそうで…
「貴方達が騙され、馬鹿みたいにはしゃぐ姿が…毎回面白いったらありゃしない!!」
ゲラゲラと仲間達も嘲笑う。
そんな狐達をサラリーマン達は茫然と見ていた。
希望が絶望に変わる時
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