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それから無言で歩く。
真横に黒坂くんがいるせいか、神経がそっちに行ってしまい雨の音も聞こえない。
…どうしよう。
何か、何か話さなきゃ。
とは思うんだけど、何を話したらいいかわからない。
切り出したのは黒坂くんだった。
「…そんなに俺が怖い?」
えっ。
思わず足が止まった。
黒坂くんも止まる。
「もう少し中に入れば良いのに。…避けてるよね?」
悲しそうな笑顔をこちらに向けてくる。
「そんなこと…」
ある。
実際通学路も変えた程だ。
「…はい。すみません。」
下手な誤魔化しは良くないと思い謝る。
ここで手を出されたら楽だったかもしれない。
しかし黒坂くんは何も言わなかった。
静寂があたしを苦しめた。
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