もうすぐ夏休み

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「藍沢さん。私の補習授業に遅刻とは良い度胸ですね」 銀縁の眼鏡を中指で上げながら不敵に微笑んでいる。 眼鏡の奥の切れ長の黒い瞳は笑ってないんだよね。それがめっちゃ怖いの。 でも、整った顔はかなりのイケメン。 だから、女子生徒に人気絶大。 いつも黒系の服ばかり着ているから、ついたあだ名は”黒の王子“。 名前は、山田 一郎(イチロウ)なんて平凡なのに…… 「フッ、仕方がないですね。遅刻した分は課題を倍という事で」 「あわゎゎゎ……」 だから、目が笑ってないって。 「それとも…… 貴女を食べても良いですか?」 「△◆★◎! ……」 「フッ、冗談です。早く教室に行きますよ」 山田先生は私の腕を掴み、引きずるように学校へ連れていった。
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