蒼の憂鬱 ②

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ていうより、全然眠れなかった。 ダイニングテーブルの椅子で、ふんずり返りながら大きなアクビをすると、 まだリビングにいた母さんが近づいてきて、仁王立ちで俺を見下ろす。 「何?」 「ヘ、タ、レ」 「なっ!」 どういう意味だよ。俺は眉間に皺を寄せた。 「本当に早くしなさい。もう何時だと思ってるの~?」 ハイハイ、12時過ぎてます。今の言葉はなかった事かよ。まったく…… 「当主様がいらっしゃったら、他の方達も来られるんだから」 婚約者候補達か…… 気が進まない。顔合わせなんて、必要ないのに…… 「まったく貴方ったら…… あの方達の中に、奈緒ちゃんがいないなんて残念だわ~」 チッ。俺だって残念だよ。 「この、ヘタレ!」 「っ!!」
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